就業手当と基本手当の減額支給の違い

今回は就業手当についての記事です。

単発のバイトで収入を得た場合(前回の記事)では、1日に稼いだ金額が基本手当の支給額の計算基準になっていましたでしたが、この就業手当には厳密な基準があります。

その基準とは以下の通りです。

就業(就労)と扱われる基準

  • 契約期間が7日以上
  • 週の労働時間が20時間以上
  • 1週間に4日以上働く

内職又は手伝いよりは長く、再就職ともいえない短期間の労働という感じで表現できそうな労働ですね。

 

この就業(就労)を行うと、失業保険はいくらもらえるのでしょうか?

就業手当は支給申請手続きを行うことにより受給権が発生します。つまり、就業手当を受給しないという選択肢もありますのでご注意ください。なお、この記事では就業手当を申請するものとして作成しております。


就業手当の支給額を計算

もらえる失業保険は就業手当と呼ばれるもので、支給額は下記の通り計算されます。

就業手当の計算式

就業手当の単価 = 基本手当の日額 × 30%

就業手当の単価には年齢の範囲で上限が決められており、60歳未満は1,831円(60歳以上65歳未満は1,482円)です。(上限額は毎年変動します。)

あまりに少ない金額ですので就業手当はもったいない感じがしますが、単発バイトのときのように日当がいくら高くても不支給になる心配がありません

しかしながら、就業手当が支給されたら所定給付日数も1日減ることについては同じです。

この減り方を例えるなら、こんな感じでしょうか。

東京〜大阪間の新幹線の回数券を10枚持っていたけれども、数枚ほどチケットショップに売った

基本手当の所定給付日数が『東京〜大阪間の回数券の枚数』で、就業手当が『売ること』ですので、回数券は減ってしまうという意味です。

基本手当の減額に関する記事は関連記事内職又は手伝いでもらえる『基本手当の減額支給』をご一読下さい。

就業手当に似たものとして、再就職手当というものがあります。

この2つは名称がよく似ていますが、制度としてはかなり大きく違いますので混同してしまわないようにしましょう。

今回は、この就業手当ををもらえる条件についてご紹介いたします。

就業手当をもらうためには条件があります。

ここまでは以下の説明をしてきました。

  • 就業手当は、いくら稼いでも不支給になってしまう心配はないが、上限金額がある。
  • 就業手当をもらうと、所定給付日数が減る
  • 就業手当の支給を申請するかどうかは自由(もらわないという選択も可能)

こんなメリットとデメリットが同居している就業手当ですが、もらうためには厳しい条件が存在します。

その条件は下記の通りです。

就業手当がもらえる条件

  • 所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上あること
    就業についた日の前日での残日数を見ますので就業を開始するタイミングが重要です。
    なお、その仕事の契約期間が終わったあとに所定給付日数が残っていれば、残りの期間に対しては基本手当が支給されることになります。
  • 離職前の事業主に雇われ直したものではないこと
  • 待機期間が経過していること
  • 事業を開始したことではないこと
  • 給付制限期間が開始してから1ヶ月以内の就業の場合は、ハローワーク等の紹介で就職した事であること
    (給付制限期間が開始してから1ヶ月を過ぎていれば、ハローワーク等以外の紹介による就業でも就業手当をもらえるようになります。)
  • 失業保険の手続きをする前に雇われる事が約束されていないこと
    失業保険の手続き前での約束では不可という決まりなので、
    求職の申込が終わった後に約束されたものであれば大丈夫です。
『給付制限期間中は就業手当をもらえない』と書かれているサイトもありますが、要件を満たせばもらうことは可能です。もちろんもらわないという選択も可能です。
これは厚生労働省の業務取扱要領(pdf)にも記載されています。

このように、いろんな条件がついているので少し複雑ですね。

就業手当の額を具体的に計算してみる。

就業手当をもらえる条件は少し複雑ですので、具体例にしてみましょう。

具体例

  • Aさん 28歳
  • 6月末日自己都合退職(給付制限期間3ヶ月有り)
  • 7月13日に失業保険の手続き
  • 失業保険の基本手当は6,000円
  • 所定給付日数は90日
  • 給付制限期間中に9月1日から10月末日の2ヶ月間の短期契約で働いた。
  • 土日祝日休み。日当は1日1万円。(残業無し)
  • 11月1日からは再び無職
  • 就業手当の支給申請をした

これらの関係を図にすると下図のようになります。

就業手当の具体例

この具体例では、Aさんは給付制限期間が始まって1ヶ月経過してから働き始め、給付が開始する日である10月20日を超えて10月31日まで雇われています。

この場合の就業手当の取り扱いは以下の通りとなります。

9月1日から10月31日までの61日分に対して就業手当が支給される

金額は以下の様に計算できます。

就業手当の単価 = 6,000円 × 30% = 1,800円 ⇒ 1,741円

就業手当の上限は1,741円ですので、就業手当の単価は1,741円になるということです。

就業手当の上限の金額は毎年変動します。

9月1日から10月末日までの間の働いた日に対してもらえる額は、

仕事の日当(1万円) + 就業手当(1,741円) = 11,741円

9月1日から10月末日までの間の休日(働いていない日)にもらえる額は、

仕事の日当(働いてないので0円) + 就業手当(1,741円) =1,741円

Aさんは11月末日までの契約でしたので11月1日からは再び無職になります。よって、その後の失業給付がどのようになっているかというと、

11月1日から所定給付日数がなくなるまで基本手当が支給されるようになるけれど、所定給付日数の残日数は29日(90日−61日)

となります。(11月1日以降にもらえる基本手当の日額は6,000円になります。)


再就職手当との違いに注意

この記事の中にもポツポツ登場してきましたが、就業手当は再就職手当とよく似ています

名前も似ているし、支給される基準も似たようなものなので間違えてしまうのは仕方がありません。

その違いを少しだけご紹介しておきます。

仕事に就いたときに、就業手当をもらえるようになるか、再就職手当をもらえるようになるかを決めるポイントとなるのは以下の条件の違いです。

1年を超え引き続き雇用される見込みがあるかどうか

次のように整理しておくとよいでしょう。

短期の雇用 = 就業 ⇒ 就業手当

長期の雇用 = 就職 ⇒ 再就職手当

なお、もうひとつ重要な違いがありますが、それについては再就職手当の記事をお読み下さい。