職業訓練校に通える人(対象者)とは?条件・コースや手続きの流れを解説
職業訓練は就職に役立つ制度ですが、誰でも通えるわけではありません。
また、受講が可能な”対象者”であっても必ずしも通えるとは限りません。
この記事では、職業訓練に通える対象者や条件について解説。
コースの種類や手続きの流れ・受講する為のコツも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
職業訓練って何?【公的職業訓練(ハロートレーニング)】
職業訓練とは、失業中の方が就職に役立つ知識や技術を習得する為の公的な訓練制度。
厳密には公的職業訓練(ハロートレーニング)という制度で、訓練の種類にもよりますが基本的に受講無料です。
※テキスト代・資格試験の受験料などは自己負担。
訓練期間は2ヶ月~1年間のコースまで幅広くありますが、おおむね3~6ヶ月間のコースが開催されることが多いです。
職業訓練に通える人(対象者)
職業訓練には主に下記の2種類があり、訓練を受講できる対象者がそれぞれ異なります。
- 公共職業訓練(うち離職者訓練)
→雇用保険受給資格者(失業保険を受給している方)が対象 - 求職者支援訓練
→雇用保険受給資格のない方が対象
就職を目的としているため、前提として次のような状態である必要があります。
- 失業中である
- 就職の意思がある
- 就職できる状態にある(怪我・病気・妊娠していない)
- 訓練を受ける必要があるとハローワークが認めている
また、就職しうる能力がないと判断された場合、受講できない場合があります。
例えば
「40代後半、未経験だけどプログラミングコースに通ってプログラマーになりたい!」
と言っても、現実的には難しいですよね。
その場合、ハローワークの職員に断られてしまうこともあります。
(もちろん全てではありませんが)
実現可能で自分に適した訓練を選ぶことが大切です。
公共職業訓練(うち離職者訓練)とは
公共職業訓練は、国や各都道府県・各都道府県から委託された民間の教育機関により実施される訓練です。
ハロートレーニング、生産性向上支援訓練のチャート図
出典:厚生労働省HP
一般的に会社を辞めて求職中の方が訓練を受ける場合、上のチャートのうち離職者訓練に当てはまります。
その為、ここでは公共職業訓練のうち離職者訓練について説明します。
離職者訓練は、雇用保険受給資格者を対象とした訓練。
失業保険を受給しながら通えるだけでなく、失業手当(基本手当)に加え下記の手当を受給できます。
- 受講手当
訓練日額500円(上限あり) - 通所手当(交通費)
通所方法により支給額は異なる(上限あり)
訓練を受ける時期(タイミング)によっては、失業給付の待機期間を待たずに受給できる他、逆に訓練終了まで延長して受給できるケースもあります。
求職者支援訓練とは
求職者支援訓練とは、雇用保険受給資格のない方(特定求職者)を対象とした訓練制度です。
ブランク期間の長い主婦の方やパート勤務で雇用保険に未加入であった方でも、就職の意思があれば訓練を受けられます。
失業保険の受給が終了してしまった方も、こちらの訓練の対象者となります。
(「職業訓練」という言葉は、離職者訓練または求職者支援訓練のことを指して使われることが多いです)
職業訓練受講給付金をもらえる(条件あり)
求職者支援訓練では、一定の条件を満たすことで受講給付金を受け取りながら通うことが可能です。
- 職業訓練受講給付金
月額10万円(支給要件あり) - 通所手当(交通費)
通所方法により支給額は異なる(上限あり)
職業訓練受講給付金を受け取るには、下記の条件を満たす必要があります。
職業訓練受講給付金の支給要件
- 本人の収入が
月8万円以下
※特例措置により令和5年3月末までは月12万円以下
- 世帯全体の収入が
月25万円以下
※特例措置により令和5年3月末までは月40万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
全ての訓練実施日に出席している
※特例措置により令和5年3月末までは「訓練の8割以上」
(病気や仕事など以外の理由で訓練を欠席した場合、給付金は日割りで支給)- 世帯の中に給付金を受給して訓練を受けている人がいない
- 過去3年以内に、不正行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない
職業訓練はどんなコースがある?
職業訓練には、様々な職種に対応したコースがあります。
- IT系
Webデザイン、プログラミング、PC基本操作など - 事務系
一般事務、経理事務、医療事務など - 介護・福祉系
介護福祉士、保育士など - 美容系
美容師、エステ、ネイルなど - 工業系
溶接、フォークリフト、電気工事など - 観光系
ホテル接客、外国語など - その他
下記リンク先より、条件を指定して訓練検索が行えます。
※訓練校によっては託児付きのコースあり
通いたい時に希望の訓練があるとは限らないので
「自分の地域ではどの訓練がどの時期に実施されるのか?」
を早いうちに調べておくのがおすすめです。
職業訓練に通うには【手続きの流れ】
職業訓練を受講したい場合、下記の流れで手続きを行います。
- ハローワークで求職登録を行う
- ハローワークで訓練相談を行う
- 願書(または受講申込書)を提出する
- 職業訓練校で選考試験を受ける
- (合格した場合)入校手続きを行う
願書(受講申込書)は、ハローワークに提出する場合と訓練校に直接提出する場合があります。
(ハローワークの職員から指示があると思いますので、指示に従ってください)
選考試験は、筆記試験と面接が行われることが多いです。
職業訓練の手続きを行う際のコツ
ハローワークに行けば誰でも訓練に通えるというわけではありません。
訓練の対象者に該当していても、ハローワークの職員に「訓練の必要がない」と判断されると願書すらもらえないこともあります。
そこで、手続きの際のコツをいくつか紹介します。
就職意欲があることを伝える
職業訓練の最終目的は就職なので、就職意欲があることを伝えるのは必須です。
ハローワークの職員は下記のような考えを特に嫌います。
- 資格を取りたいだけ
- 給付金がほしいだけ
- 知人にすすめられて、なんとなく
上記のようなセリフは間違っても言わない方がいいでしょう。
「あくまでも就職が目的で、主体的・積極的に動ける」ことを伝えるのがコツです。
「なぜ訓練を受けたいのか」を明確にしておく
受講したい訓練をいくつかピックアップし、「なぜこの訓練を受けたいのか」を明確にしておくのもポイントです。
いくら就職意欲があると伝えても、この点が曖昧だと説得力に欠けてしまいます。
少なくとも、下記の点はスムーズに伝えられるように準備しておきましょう。
- 〇〇の仕事をしたい
- 自分にはそのために必要な△△のスキルがない
- この訓練をとおして△△のスキルを習得し、就職したい
この時「自分に足りないスキル」と「訓練の内容」は合致している必要があります。
極端な例ですが、希望職種が”介護職”なのに「プログラミングコースを受講したい」と言っても、本当に就職意欲があるのか疑問ですよね。
受講理由が明確で、かつ一貫性があることが大切です。
学歴・経験・年齢を理由に詰められることもある
ハローワークで訓練相談を行う際、学歴・経験・年齢を理由に詰められることも。
下記の例は、私の訓練校の受講生がハローワークの職員に実際に言われたセリフです。
「高学歴なんだから、訓練なんて受けなくてもいい会社に就けるんじゃないの?」
「ITの会社で働いていたなら、今さら事務系の訓練なんて受けなくていいんじゃないの?」
「この職種の訓練を受けても、年齢的に就職は厳しいかと…就職できたとしても体力的にきついと思いますよ?」
少し意地悪な気もしますが、ハローワーク側としても適性を判断したいわけです。
上記のような質問をされることも想定し、スムーズに答えられるように準備しておくのが無難です。
職業訓練を受講すると履歴書に書ける
職業訓練を受講すると、受講した旨を履歴書に書けます。
ブランク期間ではなくしっかり学んだということを伝える為にも、習得したスキルや資格を記載し、就職に活かしましょう。
(職業訓練の中で応募書類の書き方を学ぶ機会があるかと思います)
職業訓練期間中でも就職活動はできる
「訓練を終えてから就職活動を始めると、就職の時期が遅れそう」
と不安な方もいるのではないでしょうか。
職業訓練期間中であっても就職活動はできます。
上手く立ち回れば、訓練修了後すぐに就職することも可能です。
訓練中の就職活動については下記の記事を参考にしてみてください。
『職業訓練中の就職活動で失敗しない為のポイント【訓練校の中の人が解説】』
職業訓練に通える対象者は幅広い!受講して就職に繋げよう
最後に、職業訓練を受講できる対象者をもう一度記載します。
- 公共職業訓練(離職者訓練)
→雇用保険受給資格者が対象 - 求職者支援訓練
→雇用保険受給資格のない方が対象
訓練の種類は異なりますが、雇用保険の有無にかかわらず受講できる可能性があります。
手続きを上手く進めて訓練を受講し、意味のある就職へと繋げていきましょう。
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