再就職先の給与額が前職より低い場合に支給される手当があります

再就職手当をもらっているとさらに特典が!

再就職手当をもらえる再就職をした場合、就業促進定着手当という手当をもらえる可能性があります。

以下の条件をすべて満たす方は、申請の手続きをしましょう。

再就職手当の支給を受けていること

再就職手当をもらって再就職をしている必要があります。

再就職手当については関連記事再就職したときにもらえる再就職手当をご一読ください。
再就職の日から、6か月以上雇用されていること

再就職先で雇用保険に加入している必要があります。

出向その他の特別な雇われ方の場合、支給対象とならない場合があります。

再就職後の賃金額が、離職前より低下していること

再就職での賃金額のことをみなし賃金日額といい、以下の計算式で計算します。

みなし賃金日額 = 再就職後6カ月間の賃金の合計額 ÷ 180

失業保険の計算に用いる賃金日額の計算式と似ていますが、異なるということに注意しておきましょう。

この記事に出てくる用語は関連記事賃金日額を詳細に計算しますによく出てきますので、ご一読ください。

賃金額が低下しているかどうかを比較します

就業促進定着手当がもらえるかどうかは、最終的には

賃金額が低下しているかどうか
ということになりますので、賃金額について掘り下げて考えてみます。

まずは、当たり前の話ですが、
退職前6カ月間の給与が月給30万円(一定額)で、再就職後の給与額も同じく30万円(一定額)の場合は、再就職前後で給与額が変わりませんので、手当金はもらえません。

 

しかし、給与額が全く同じである会社はほとんどありません。

残業がある(ない)会社であったり、日給で計算されたり、歩合給があったり、無事故手当があたりなかったりなどで給与額が変動するのがあたりまえですので、これらを考えた場合に比較が難しくなるのです

一気に説明すると混乱するので、順番に整理したいと思います。

賃金額に含めるもの、含めないもの

これは賃金日額も、みなし賃金日額も共通です。

ほとんどの方は給料明細書に書かれている支給総額(社会保険料や税金を引く前の金額)をいいます。

住宅手当、家族手当、通勤手当などは含んで計算します。

毎月評価を受けて支給されるような歩合給も含んで計算します。(残業代と同じ扱いです。)

ただし賞与や、インセンティブなどの臨時ボーナスは除きます

みなし賃金額の方が有利な計算をされます

給与明細上での金額は同じなのに、みなし賃金日額の方が少し有利に計算される場合があります。

それはなぜか。

みなし賃金日額は、単純に入社後の6カ月間の給与総額から計算されるから

と表現したらわかりやすいでしょうか。

「単純に」というところがポイントでして、逆に言うと賃金日額の方が「複雑に」計算されているのです。

失業保険の計算のもとになる賃金日額の方には賃金支払基礎日数という考え方があり、賃金支払い基礎日数が11日以上ない月は賃金日額の計算に含めずに計算するという決まりがあるのです。

みなし賃金日額にはこの考え方がないので、そのことを「単純に」という表現にしています。

分かりやすくするために、具体的に考えてみましょう。

項目名 賃金額 賃金支払
基礎日数
賃金日額 みなし
賃金日額
端数月(※) 20万円 15日 × ×
1カ月目 30万円 22日
2カ月目 30万円 22日
3カ月目 5万円 10日 ×
4カ月目 30万円 22日
5カ月目 30万円 22日
6カ月目 30万円 22日
7カ月目 30万円 22日 ×
合計 −− −− 180万円 155万円
日額 合計額÷180= 10,000円 8,611円

表の補足

端数月とは、賃金締切日に退職しなかった場合や、賃金締切日の翌日に入社しなかった場合の月のことをいいます。

例:賃金締切日が月末の会社で、退職日が15日付であったり、入社日が10日付であったりして、まるまる一カ月分の賃金期間がない月をいいます。(末日退職や1日入社の場合には端数月は発生しません。)

3カ月目は何らかの理由により会社を欠勤して給与額が減らされたという例にしています。

分かりやすくするために両方とも月額30万円で計算していますが、給与の金額や賃金支払基礎日数はそれぞれの会社で別々に計算します。

このように、賃金額を計算に含める月と含めない月があるのがお分かりいただけたかと思います。

就職促進定着手当はこの賃金額を比較して下がっているかどうかを確認する必要があるのです。

賃金日額は失業保険の計算基礎になるので高い方が有利
みなし賃金日額は就業促進定着手当の計算基礎になるので低い方が有利という考え方でよいかと思います。

就業促進定着手当の計算

就業促進定着手当の支給額は次の計算式で計算されます。

{ 賃金日額(※1) − みなし賃金日額 } ×賃金支払基礎日数(※2)

(※1)賃金日額には上限があります。(毎年変動します)

離職時の年齢 上限額
30歳未満 12,740円
30歳以上45歳未満 14,150円
45歳以上60歳未満 15,550円
60歳以上65歳未満 14,860円

平成28年8月1日の金額です。

賃金日額が2,290円の場合は就業促進定着手当は支給されません。

離職時の年齢が65歳以上の場合は、再就職手当も就業促進定着手当も支給されませんので、表の中に65歳以上という項目はありません。

(※2)賃金支払基礎日数とは、月給の場合はカレンダーの暦日数で日給(時給)の場合は出社日数です。

これで就業促進定着手当の計算が終わると思ったら、終わりません。

この計算結果に対しても最終的な上限というものが設定されています。

就業促進定着手当の上限額

先ほど計算した支給額ですが、無制限に支給されるわけではなく、上限があります。

就業促進定着手当は再就職手当とワンセットのような手当ですので、再就職手当の支給額に影響されるような感じで、以下の通り計算されます。

再就職手当の給付率が70%であった場合

上限額 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 30%

再就職手当の給付率が60%であった場合

上限額 = 基本手当日額 × 支給残日数 × 40%

計算式の中の基本手当日額には退職時点での年齢に応じて上限があります。

支給残日数とは、再就職手当をもらう前に残っていた失業保険の所定給付日数のことをいいます。

退職日における年齢の範囲 基本手当日額の上限額
60歳未満 5,805円
60歳以上65歳未満 4,707円

平成28年8月1日の金額です。

具体的な支給額を考えてみる

かなり計算に手間のかかる就業促進定着手当ですが、最後に具体的な金額を計算してみましょう。

具体例の条件

  • 退職時の年齢28歳
  • A社の給与は月36万円(一律)⇒賃金日額は12,000円
  • 基本手当日額は6,000円
  • 6月末日にA社を自主退職(つまり給付制限期間3ヶ月有り)
  • 7月13日に失業保険の申込
  • 所定給付日数は90日
  • 11月1日から、1年勤めるだろうと見込まれるB社に再就職した
  • 無遅刻無欠勤で6カ月間働いた(賃金の増減なし)
  • 再就職手当をもらった
  • B社の給与額は月給30万円(一律)である。(6ヶ月間で180万円)

少し説明を省略しますが、この例による再就職手当の金額は次のとおり計算できます。

再就職手当 = 基本手当日額(5,805円) × 70% × (90日−12日) = 316,953円

この計算方法については関連記事再就職したときにもらえる再就職手当でご確認ください。

続いて就業促進定着手当の計算に移ります。

 

まず最初に、みなし賃金日額の計算をします。

みなし賃金日額 = 6カ月間の賃金合計(180万円) ÷ 180 = 10,000円

次に、退職時の賃金日額と比較します。

賃金日額(12,000円) > みなし賃金日額(10,000円)

よって、支給対象になるということが分かりました。

 

続いて、上限額は考えない状態で支給額の計算を行います。

{賃金日額(12,000円) − みなし賃金日額(10,000)}×賃金支払基礎日数(181日) = 362,000円 (1円未満切り捨て) ・・・(値1)

11月から4月末までの暦日数は181日

最後に、上限額を計算します。

基本手当日額(上限の5,805円) × 支給残日数(78日) × 支給率(30%) =135,837円 ・・・(値2)

この二つの値を比較します。

上限額である値2(135,837) < 計算結果である値2(362,000円)

以上の計算結果から、就業促進定着手当は上限額の135,837円になります。

失業保険の受給額を比較してみる

再就職手当と就業促進定着手当、そして再就職前の失業保険の金額を合算してみましょう。

基本手当12日分 72,000円
再就職手当 316,953円
就業促進定着手当 135,837円
合計 524,790円

再就職をせずに失業保険を全てもらった場合の合計額は54万円ですので、単純に受給総額だけで比較すると再就職した場合とそれほど変わりはないですね。

しかし再就職している場合は給与の支給を受けていますので、年間の収入の面でいうとかなりのプラスになると言えそうです。

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