- 職業訓練中にもらえるお金はいくら?手当・支給金額や受給する為の条件を解説
- 公共職業訓練でもらえる手当と金額
- 職業訓練期間中もアルバイトできる【条件あり】
- 1日に4時間以上働くと支給日が後ろにズレる
- 1日に4時間未満働くと支給額が減額になる場合がある
- 求職者支援訓練でもらえる給付金
- 職業訓練受講給付金の金額と要件【月10万円】
- 世帯全体の収入も見られる
- 金融資産は細かく審査される【通帳の提示など】
- 職業訓練受講給付金をもらいながらアルバイトできる【条件あり】
- 受給要件を満たしているか支給単位期間ごとに確認される
- 欠席(遅刻・欠課・早退)ができない
- 「やむを得ない理由」があったことを証明する書類が必要
- 手当・給付金をしっかりもらいながら職業訓練に通おう
職業訓練中にもらえるお金はいくら?手当・支給金額や受給する為の条件を解説
職業訓練は、受講費無料で通える公的な訓練制度。
訓練によっては、条件を満たすことでお金を受け取りながら学ぶことも可能です。
職業訓練には主に下記の2種類があり、受け取れる手当や金額は異なります。
- 公共職業訓練
(雇用保険受給資格者が対象) - 求職者支援訓練
(雇用保険の受給資格がない方が対象)
この記事では、実際にもらえる手当や金額について訓練別に解説。
給付条件から漏れない為の注意点にも触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
もらえるお金を確実に受け取るには、ハローワークの職員としっかり相談を行ったうえで手続きを進めることがとても大事です。
公共職業訓練でもらえる手当と金額
雇用保険の受給資格者が訓練を受ける場合、通常は公共職業訓練のうち「離職者訓練」を受講することになります。
離職者訓練に通いながら受け取れる手当は下記のとおり。
- 失業手当(基本手当)
- 受講手当(訓練手当)
- 通所手当(交通費)
- 寄宿手当
失業手当(基本手当)
失業手当(基本手当)として、離職前の給与の50〜80%が支給されます。
※金額には上限・下限があります(年齢等により異なる)
受講手当(訓練手当)
受講手当は、訓練一日あたり500円が支給されます。
ただし支給される金額は最大20,000円です。
上限額20,000円を日額500円で割ると
20000÷500=40
つまり、最大40日分受け取れる計算になります。
通所手当(交通費)
訓練校への通学に交通機関または自動車等を利用する場合、通所手当が支給されます。
通学方法や経路に応じて金額が計算され、月額の上限は42,500円。
一番合理的で料金のかからない経路の費用(定期代相当)が支給されます。例えば通学にかかる時間が同じぐらいだとすると、乗り換えが少なく楽な経路があったとしても、さらに費用のかからない経路がある場合は安いほうの費用で算出されます。
車やオートバイで通学する場合
自宅と訓練校が2キロ以上離れていると距離に応じて支給されます。
寄宿手当
訓練を受ける為に家族と別居して寄宿する場合、寄宿手当が支給されます。
ただ、実際に寄宿手当を受給しているケースはあまり見かけません。
ここでいう家族とは「訓練を受ける者により生計を維持されている同居の親族」を指します。
(婚姻の届出はしていなくても「事実上その者と婚姻と同様の事情にある者」も含む)
寄宿手当の月額は10,700円。
家族と別居していない日があるなど支給対象にならない日がある月は日割りで減額されます。
職業訓練期間中もアルバイトできる【条件あり】
職業訓練期間中も、上記の手当を受給しながらアルバイトすることが可能です。
ただし、雇用保険に入らないように働かないといけません。
雇用保険に加入してしまうと「就職した状態である」と見なされ、給付が受けられなくなり訓練も受けられなくなります。
特に「週の労働時間が20時間以上、かつ1ヶ月以上継続しての勤務」だと、雇用保険に入らないといけなくなってしまうので注意が必要です。
1日に4時間以上働くと支給日が後ろにズレる
1日に4時間以上働くと、その日の失業保険は支給されず、そのぶん支給日数が後ろにズレます。
支給日が先送りになるだけなので、このこと自体で損するわけではありません。
ですが、離職から1年経ちそうな方や訓練期間終了まで延長して失業保険を受けている方は、さらに延長して受給できるわけではないので働いたぶん損してしまうケースもあります。
1日に4時間未満働くと支給額が減額になる場合がある
1日に4時間未満の労働をしても支給日数がズレることはありません。
ただし、賃金日額や基本手当の日額によっては、働いた日の支給額が減額されることがあります。
①(合計収入÷働いた日数-1,287円(控除分))+基本手当日額
②賃金日額×80%
③ ①-②=減額されるお金(計算結果が0またはマイナスになる場合は減額されません)
計算方法は複雑なので、ハローワークの人に計算してもらった方が確実です。
求職者支援訓練でもらえる給付金
雇用保険の受給資格がない場合、特定求職者として求職者支援訓練を受けることになります。
特定求職者として支援を受ける為には、下記の条件を全て満たさないといけません。
●ハローワークに求職の申込みをしていること
●雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
●労働の意思と能力があること
●職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと
※在職中(週所定労働時間が20時間以上)の方、短時間就労や短期就労のみを希望される方、老齢年金の受給者の方などは、原則として特定求職者に該当しません。
※特定求職者であるだけでは職業訓練受講給付金は支給されません(別途、職業訓練受講給付金の支給要件を満たす必要があります)。また、特定求職者が、後に雇用保険被保険者、雇用保険受給者となるなど、上記要件を満たさなくなった場合も受給できません。
求職者支援訓練に通いながら受け取れるのは下記3つ。
- 職業訓練受講給付金
- 通所手当(交通費)
- 寄宿手当
通所手当と寄宿手当については前述したとおりなので、職業訓練受講給付金について説明します。
職業訓練受講給付金の金額と要件【月10万円】
求職者支援訓練を受ける場合、さらに下記の要件を全て満たすことで月10万円の職業訓練受講給付金が支給されます。
職業訓練受講給付金の要件
●本人収入が月8万円以下(※1)
※特例措置により令和5年3月末までは月12万円以下
●世帯全体の収入が月25万円以下(※1,2)
※特例措置により令和5年3月末までは月40万円以下
●世帯全体の金融資産が300万円以下(※2)
●現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
●全ての訓練実施日に出席している
※特例措置により令和5年3月末までは「訓練の8割以上」
(病気や仕事など以外の理由で訓練を欠席した場合、給付金は日割りで支給)
●同世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない
●過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない
※1「収入」とは、税引前の給与などの他、年金その他全般の収入を指します(一部算定対象外の収入もあります)。
「世帯全体の収入」は、事前審査において前年の収入が300万円以下であることを確認します。
※2「世帯」とは、本人のほか、同居または生計を一つにする別居の配偶者、子、父母が該当します。
※3「出席」とは、訓練実施日に全てのカリキュラムに出席していることをいいます。ただし、やむを得ない理由により訓練に遅刻・欠課・早退した場合で、1実施日における訓練の2分の1以上に相当する部分を受講したものについては、1/2 日出席として取り扱います。
※訓練期間中から訓練終了後、定期的にハローワークに来所し、職業相談を受けることが必要です。
※過去にこの給付金を受給したことがある場合は、前回の受給から6年以上経過していることが必要です(連続受講の場合を除きます)。
参考:厚生労働省HP『就職支援・給付金などについて知る』
現在、特例措置により要件が緩和されています(令和5年3月末まで)
詳細は厚生労働省HPをご確認ください。
ここからは、職業訓練受講給付金の注意点を説明していきます。
世帯全体の収入も見られる
本人の収入が要件の範囲内でも、世帯収入で引っ掛かっているパターンはよくあります。
職業訓練校行っても10万円貰えないかも…世帯年収で…
— ぷりん (@ASD_komaru) February 24, 2022
一緒に住んでいる親の収入が要件の範囲を超えていたり、親の資産が300万円を超えていると給付金の条件を満たさなくなります。
また、一人暮らしだけど住民票を移していないために世帯収入が超えてしまったというケースもあります。
親の収入や住民票など、事前に確認しておきましょう。
金融資産は細かく審査される【通帳の提示など】
収入や金融資産については、ハローワークで細かくチェックされます。
実際に通帳の提示を求められ、大きなお金の移動などがあると「これは何か?」などと聞かれます。
しっかり答えられるように準備しておきましょう。
ただし、給付金が欲しいからといって嘘の申告をするのはNGです。
不正受給が発覚すると、給付金の全額返還だけでなく支給された金額の2倍を支払わなければいけません。
悪質な場合だと詐欺罪で訴えられる可能性もあります。
職業訓練受講給付金をもらいながらアルバイトできる【条件あり】
条件にある収入を超えなければ、アルバイトをしながらでも職業訓練受講給付金がもらえます。
ただし雇用保険に加入してしまうと「就職した」と見なされ、支給されなくなるので要注意。
また、週の労働時間が20時間以上になると「特定求職者」に該当しなくなり、支給対象から外れてしまいます。
さらに”収入”には親からの仕送りや副業収入なども含まれるので、これらを合算したうえで条件を超えないようにしなければいけません。
受給に関わる大切なことなので、アルバイトをしたい方はハローワークでしっかり相談したうえで始めることを強くおすすめします。
受給要件を満たしているか支給単位期間ごとに確認される
最初に審査が通ったからといって、毎月必ず給付金が支給されるとは限りません。
受給要件を満たしているかは支給単位期間(約一ヶ月)ごとに確認されます。
要件を満たさない月があると、その月の給付金は支給されません。
例えば「訓練期間中に収入が上がり、要件を満たさなくなった」などのケースです。
給付金が支給されなかったからと訓練を辞めてしまう方も時々見受けられます。
支給されないケースもあらかじめ想定して訓練計画を立てましょう。
欠席(遅刻・欠課・早退)ができない
やむを得ない理由がない限り、全ての訓練実施日に出席していないと給付金が支給されません。
やむを得ない理由と認められるのは、例えば下記のようなものです。
●本人の病気やけがのため
●天災等(暴風雨雪、列車遅延、交通事故など)のため
●求人者の面接(採用試験を含む)を受けるため
●ハローワークが今後の再就職に資するものと判断できるセミナーなどを受講するため
●各種国家試験、検定などの資格試験を受験するため
●親族(※)の病気やけがの看護、介護をするため
●本人や親族(※)の結婚のため
●親族(※)の危篤、死亡または葬儀のため
●配偶者、3親等以内の血族または姻族の法事のため
●中学生以下の子どもの入学式または卒業式などに出席するため
など。
※「親族」とは、6親等以内の血族、配偶者および3親等以内の姻族を指します。
やむを得ない理由がないのに1回でも欠席(遅刻・欠課・早退)をすると不支給となります。
「やむを得ない理由」があったことを証明する書類が必要
これらのやむを得ない理由により欠席等する際は、原則それを証明する書類を提出しなければいけません。
例えば…
病気やけがで休む場合
病院の領収書や処方箋など(市販薬の領収書はNG)。
就職のための面接で休む場合
面接した企業の印鑑が押された面接証明書など。
また、「やむを得ない理由」はあらかじめハローワークが定めた理由に限ります。
やむを得ない理由に当たるかどうか、必要な証明書類については自分で判断せず、事前にハローワークに相談してください。
(事前に連絡できなかった場合でも、速やかにハローワークに連絡・相談を行ってください)
さらに、やむを得ない理由があったとしても支給単位期間ごとに8割以上出席していなければいけないので注意してください。
手当・給付金をしっかりもらいながら職業訓練に通おう
最後にポイントをまとめると…
(雇用保険受給資格者が対象)
・失業手当:離職前の給与の50〜80%
・受講手当:上限20,000円
・通所手当:上限42,500円
・寄宿手当:月額10,700円
求職者支援訓練でもらえるお金
(雇用保険受給資格のない方が対象)
・職業訓練受講給付金:月10万円
・通所手当:上限42,500円
・寄宿手当:月額10,700円
要件から外れない範囲であれば、どちらも通いながらアルバイト可能!
損することなくお金を受け取るには、ハローワークの職員としっかり相談して計画を立てることが大事です。
記事冒頭でも書きましたが、手続きに漏れや不備があると給付が受けられなくなるケースがあるので。
お金をもらいながら学べる職業訓練、ぜひ就職に活かしてみてください。
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